CASE STUDY 01 / 農業・スマート農業電源も通信環境もない山際の畑を、100m以上離れた場所から見守る
カメラを付けたいのに、電気が来ていない。Wi-Fi も届かない。SIM は通信料が読めない―― この「3つの無い」に阻まれて監視をあきらめていた小規模農園に、 ソーラー+Wi-Fi HaLow™ の SHI-Cam-AH を導入しました。 カメラと母屋を結ぶ線の上を山の裾野が横切っており、見通しは通っていません。 それでも100m以上離れた母屋までの映像伝送を確認しました。
30秒でわかる、この導入例
この導入例の設置条件と結果を、うまくいった点・届かなかった点の両方そのまま掲載しています。
要点
- 用途は畑の作物の生育監視。人が毎日見に行けない区画の様子を、離れた場所から確認したい。
- 電気工事が引けない・既存 Wi-Fi が届かない・SIM の通信料が読めない、という3つの制約が導入の壁だった。
- 本体 ¥29,800(税別)+ アプリ Basic ¥980/月(税別)という費用感が、導入判断の決め手のひとつになった。
- ニーズは「山際の畑から100m以上離れた場所で映像を受信したい」。
- 結果:カメラと母屋を結ぶ線の上、カメラから約10m地点を山の裾野が横切る条件で、100m以上離れた母屋までの映像伝送に成功。
- 裾野を留める石垣の高さは3m。カメラ(1.5m)より高く、カメラと母屋を結ぶ線は裾野の中に入っていた=見通しは通っていなかった。
- つまり見通しが通っていなくても、100m以上の映像伝送は成立しうることを実証できた(詳細は下記)。
| 導入先 | 小規模農園(匿名) |
|---|---|
| 導入目的 | 農業/畑の作物の成長(生育状況)の監視 |
| 設置環境 | 山際の畑。カメラ設置点と母屋を結ぶ線の上を山の裾野が横切っており、カメラから約10m地点にその裾野を留める石垣(高さ3m)がある。裾野は経路の約85mにわたって続く |
| アンテナ高さ | カメラ側 地上約1.5m(本体取付部)/ 受信側 地上約1.0m(母屋1階の窓際)。両点の標高差はほぼ無し |
| 要件 | 山際の畑から100m以上離れた場所で映像を受信したい |
| 使用機器 | SHI-Cam-AH / 専用ソーラーパネル / 設置用ポール(φ約34mm ステンレスポールに3穴ブラケットで固定) |
| 受信側 | 市販の Wi-Fi HaLow ルーター(母屋の畑側の窓際に設置)+ 映像表示アプリ「SHI-Cam-AH Live」(Androidアプリ版) |
| ルーター〜端末 | 2.4GHz の屋内向け Wi-Fi で接続(ルーター ↔ Android 端末) |
| 電源 | ソーラーパネル+内蔵 Li-Po バッテリー(商用電源・電気工事なし) |
| 通信 | Wi-Fi HaLow™(IEEE 802.11ah, Sub 1GHz帯)/ SIM・携帯回線の契約なし |
| 結果 | 100m以上離れた母屋で受信成功(見通しは通っていない状態)。本検証は母屋方向の1経路のみで実施 |
受信までの経路
ソーラー+内蔵バッテリー
ルーター 母屋の畑側の窓際に設置
(Androidアプリ版)で表示
長距離を受け持つのは Wi-Fi HaLow の区間だけ。ルーターから先は、普段お使いの屋内 Wi-Fi と同じ扱いです。
「3つの無い」が、監視カメラの導入を止めていた
この農園が SHI-Cam-AH を選んだ理由は、機能の多さではなく、現場にある制約をそのまま越えられるかどうかでした。
電源が無い
―― 電気工事は現実的でない
畑には商用電源が来ていません。カメラを設置するためだけに電線を引く工事は費用が高額になり、投資として見合いませんでした。
→ SHI-Cam-AH の答え:ソーラーパネル+内蔵 Li-Po バッテリーで自立稼働。電源工事そのものが不要になります。
電波が届かない
―― 通常のWi-Fiでは無理
母屋側の一般的な Wi-Fi(2.4GHz / 5GHz)は、畑まで電波が届きません。中継機を並べる方法も、屋外・無電源では成立しません。
→ SHI-Cam-AH の答え:Wi-Fi HaLow™(Sub 1GHz帯)は波長が長く回り込みやすい。免許不要で、長距離側に振った無線規格です。
コストが読めない
―― SIMの通信料が不安
SIM を挿すタイプのカメラは、映像を送るほど通信料が積み上がります。畑1区画のために毎月いくらかかるのか読めない点が不安でした。
→ SHI-Cam-AH の答え:本体 ¥29,800(税別)+ アプリ Basic ¥980/月(税別)。SIM 契約は不要で、月額が固定です。
設置の様子
工具はポールを立てるための道具のみ。配線工事も基礎工事もなく、畑の畝際にそのまま設置しています。
検証結果:見通しが通っていない状態で、100m以上の映像伝送を確認
カメラと母屋を結ぶ線の上を山の裾野が横切っている条件で実測した結果です。
カメラを設置した畑と、受信側を置きたい母屋を結ぶ直線上、送信点から約10m地点を山の裾野が横切っています。 この裾野は石垣で留められており、石垣の高さは3m。カメラの取付高さ(1.5m)より高く、その上の地形はさらに高くなります。 つまりカメラと母屋を結ぶ線は裾野の中に入っており、見通しは通っていませんでした。 それでも100m以上離れた母屋まで映像を伝送できることを確認しています。要件どおりの運用が可能です。
※ 本検証は、カメラ設置点から母屋方向の1経路について実施したものです。他の方角・他の距離は検証していません。
現場の位置関係と、カメラと母屋を結ぶ線の断面です。
上から見た図。カメラと母屋の位置と距離は、両端の地点をもとに作図しています。山側・道側の帯は位置関係の目安です。
横から見た図。石垣の高さ(3m)までが実測で、その上の地形は測っていません。
この図は、カメラと母屋を結ぶ縦方向の切り口だけを描いたものです。
電波が実際にどこを通って届いたのか ── 裾野の上を越えたのか、左手の道側から回り込んだのか ── は、今回の検証では確認していません。
この結果から言えること:遮蔽物の「有無」ではなく「高さと位置」で決まる
Wi-Fi HaLow™ は規格上、約1km の距離を通信できます。ただしこれは 見通し(送信機と受信機の間に電波を遮るものが無い状態)を前提とした値です。 送受信機器の間に電波を遮るものがあると、規格上の距離に満たなくても届かなくなることがあります。
ただし本事例が示したのは、その逆でもあります。見通しが通っていない状態でも、100m以上の映像伝送は成立しました。 遮蔽物があれば必ず届かない、というわけではありません。結果を決めるのは遮蔽物の有無ではなく、 それがどのくらいの高さで、どこにあるかです。 同じ距離でも、遮蔽物の高さ・位置・受信点の選び方によって結果は変わります。
そのため SHIMOHA では、お問い合わせの際にどのような場所へ設置したいかをヒアリングさせていただき、 設置位置・高さ・機器の向き・中継の要否についてアドバイスしています。 「うちの現場では届きますか?」というご相談を、購入前の段階でお気軽にお寄せください。
遮蔽物のある現場で、届かせるための3つの考え方
今回の導入で確認できた、Wi-Fi HaLow を屋外で使うときの実務的なポイントです。
まず「間に何があるか」を確認する
建物・擁壁・法面・山の斜面・密集した樹木は、距離以上に効きます。カタログの到達距離ではなく、設置点と受信点を結ぶ線の上に何が、どのくらいの高さであるかを、先に地図と現地で確認します。
「少し上げれば越えられる」とは限らない
高さは効きますが、遮蔽物が高ければポールを数十cm伸ばした程度では足りません。本事例の石垣は高さ3mで、カメラ(1.5m)より高い位置にありました。どこまで上げれば足りるのかは、遮蔽物の高さと距離から現場ごとに見当をつける必要があります。
受信点の選び方で、効いてくる遮蔽物が変わる
受信側を数m動かすだけで、間に入ってくる地形が変わります。本事例では受信側を母屋の畑側の窓際に置きました。カメラから見て右手は山がさらに高くなるため、どこで受けるかが結果を分けます。
この導入例にかかる費用
初期費用と月額が固定なので、1区画あたりのコストが事前に計算できます。
※ 表示価格はすべて税別です。10台以上のロット割引・量産カスタム・請求書払いに対応しています。 ※ SHI-Cam-AH Live には無料の Free プラン(USB-C 直結でのライブ確認・スナップショット・設定・OTA 更新)もあります。 ※ 業務用のクラウド保管・フリート管理をご希望の場合は、別サービス「SHI-Cam-AH クラウド(Azure SaaS)」をご利用ください。
見に行かなくても、育ちがわかる
生育状況を離れた場所から確認できるようになれば、畑に足を運ぶ回数そのものを設計できるようになります。
畑の作物は、数日単位で状態が変わります。収穫の適期、水切れ、鳥獣による食害―― いずれも「行ってみて初めて気づく」ことが多く、その往復が小規模農園ほど負担になります。
離れた場所から生育状況を確認できれば、見に行くべき日を選べるようになります。 今回の導入は、その運用が電源工事も回線契約もなしに成立することを、実際の畑で確かめたものです。
※ 本ページに記載した受信可否は、この設置環境・この日の条件での実測結果です。到達距離は設置場所の地形・遮蔽物・設置高さによって変わります。
この導入例についてよくあるご質問
Wi-Fi HaLow は約1km届くと書いてありますが、実際にはどれくらい届きますか?
見通しが取れない場所でも届きますか? 買う前に判断できますか?
うちの現場でも届くかどうか、購入前に確認できますか?
電気工事は本当に不要ですか? 夜間や曇天でも動きますか?
SIM(携帯回線)の契約は必要ですか? 月額はいくらかかりますか?
受信した映像はどこで見るのですか?
設置に特別な工事や資格は必要ですか?
「うちの現場では届きますか?」から、ご相談ください。
電源が無い、Wi-Fi が届かない、SIM の通信料が読めない――その3つが揃った場所こそ、SHI-Cam-AH の出番です。 設置場所をお聞かせいただければ、届く/届かないの見立てと設置の工夫をお伝えします。
本ページに掲載した内容は、当該設置環境での実測結果です。
本検証は、カメラ設置点から母屋方向の1経路について実施したものであり、他の方角・他の距離については検証しておりません。
Wi-Fi HaLow™ の到達距離は、設置場所の地形・遮蔽物・設置高さ・周囲の電波環境によって変わります。すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。
導入先の名称は、先方のご意向により掲載しておりません。表示価格はすべて税別です。
Wi-Fi HaLow™ は Wi-Fi Alliance の商標です。

